狩猟車は災害に強い!豪雨や災害時にも活躍するが、注意点も

画像出典:旭川トヨタ


亜熱帯になってきた日本

世界的に起きている気候変動。今年は旭川も暑く、雨や湿気の多い夏となりました。これまでにないほどの短時間で降る強い雨は、さながら南国の島国のような亜熱帯を感じさせるものではなかったでしょうか。これから秋にかけては台風もやってきます。ここ数年水害や土砂災害などが頻発していますので、注意が必要です。

このような「豪雨」や「土砂災害」の際も活躍するのがトヨタの「ランドクルーザー」やスズキの「ジムニー」ジープの「ラングラー」などのオフロード4WDです。また、トヨタ「ハイラックス」や日産の「ダットサン」などは、オフロード4WDの性能と大きな荷台を併せ持つ狩猟に適した車といえます。

多くのハンター達が好んで狩猟車にしているのもこれらのオフロード4WDではないでしょうか。


最大の特徴は「ロードクリアランス」と「大きなタイヤ」

ロードクリアランスとは、地面と車輪を除く車体の隙間のこと。オフロード4WDは平均200mm以上のロードクリアランスを持ちます。これを実現しているのはサスペンションストロークで、人間でいうとよく足が上がることに似ています。人間も高く足が上がるほど大きな岩も超えていけますが、これと同じようにロードクリアランスが大きいほど大きな障害物や窪み、浸水箇所などを越えることができます。

また、大きなタイヤも重要なポイント。タイヤが大きいというだけで、接地面が広いといえます。またほとんどのオフロード4WDはオンロード・オフロード性能を両立させた「オールテレーンタイヤ(ATタイヤ)」を装備しているので、土砂や水、泥などが地面に乗っているような災害現場でもトラクションを十分に発揮することができます。


ハードな環境に強い4WDシステム

一般の4WDは「フルタイム4WD」と呼ばれ、前後デフとセンターデフを持ちます。このシステムは左右輪前後輪とも差動を吸収するので、フラットな道ではスムーズで安定した走行ができますが、その反面、悪路などで1輪が空転すると、他の3輪に力が伝わらず前進も後退もできなくなる、いわゆる「スタック」を簡単に起こしてしまいます。これを防ぐ差動制限装置もありますが、ある程度空転を検知してからセンターデフをロックするためにタイムラグが生じてしまい、停止状態からの発進がスムーズにいかず、うまく悪路から抜け出せないことがあります。

翻って、オフロード4WDに採用されているシステムは「直結」状態が作れます。ジムニーやラングラーなどはサブトランスファーで2WDと4WDを切り替える、いわば「直結4WD」そのものと言えます。また、ランドクルーザーなどはフルタイム4WDではありますが、サブトランスファーやデフロックによって、「直結」状態にすることができます。これによって、いつでも4輪とも駆動をかけられ、空転などで無駄にするパワーが少ないので優れた悪路走破性が発揮できます。

また、豪雨の際には、タイヤと路面の間に水が入って浮いた状態になる「ハイドロプレーニング現象」が起き、走行がふらつくようなシーンもあります。このような時にはまず速度を減速するのが最優先ですが「直結4WD」にすると、驚くほど走行が安定します。


ただし弱点も

オフロード4WDは、弱点もあります。

乾燥し摩擦係数の上がった状態の路面では、「タイトコーナーブレーキング現象」を起こします。これはコーナリング中の前後輪の回転差を吸収できなくなるために発生し、車両の挙動がギクシャクして最悪転倒することも。

また、車高が高いため風を受ける投影面積が大きく、強風の際はハンドルを取られたり転倒したりする可能性は高くなります。

つまり、台風接近で風が強くなった際などに、コーナリング中に挙動がギクシャクしたところで強風に煽られ転倒するケースもあるので、強風時に直結状態の4WDは使えない、と考えておいたほうが良いでしょう。

画像出典:朝日新聞

浸水箇所での注意点

多少の浸水箇所は大丈夫ですが、タイヤの半分以上浸かってしまう際は、車が浮いてしまい操舵やトラクションを失ってしまうことがあります。そして、水の中に入ると同時に水面が想像以上に上がってくることもありますので無理は禁物です。

また、通過途中でエンジンが停止してしまうとエンジン内に水を吸ってしまい、「ウォーターハンマー現象」を起こして最悪の場合エンジンが破裂することもあります。通過時はスロットルを開けたままゆっくり進むことが大切です。



画像出典:朝日新聞

土砂崩れに遭遇したら

土砂崩れはよほどのことがない限りは迂回することが鉄則です。多少のクロカン経験者であっても、雨で崩れた土砂は非常に柔らかく、車重の重い4WD車ではズルズルと簡単に崩れてしまいます。

またこの時「山側」にハンドルを切ってはいけません。山側に切ると簡単に谷側に転倒します。谷側が斜面の場合転がり落ちてしまうこともあり、軽い気持ちが重大な事故につながります。走る場合は、見極められる目と経験値が必要なのです。


オフロード4WDは狩猟の良き相棒であり、災害時も頼れる存在。でも、何も知らずに乗りこなせるわけではありません。仕組みをよく知り、きっちりとその時その状況に合わせて使い分けができることもまた、ハンターとして大事なことなのかもしれません。


広報部おすすめ書籍

オフロード4WDを手に入れても、誰も走り方は教えてくれません。また、あんまりこの関係の書籍は少ないように思うのですが、この本は今更聞けないクロカンの超基本から書かれているので新人ハンターにはもちろん、ベテランにもおすすめです。



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