なんで猟期は冬なの? 気になったので調べてみました。


日本では、狩猟ができる期間が定められています。鳥獣保護法には、

十月十五日(北海道にあっては、毎年九月十五日)から翌年四月十五日

とあり、細かくは各都道府県で調整するように定められています。でも、鳥獣保護法の中には特にこの期間についての「理由」は書かれていません。

なぜ冬なんでしょうか。


環境省は「主に安全のため」

環境省ウェブサイトを見ると、

鳥獣保護管理法に定められた狩猟期間については、主として安全確保の観点から、農林業作業の実施時期や山野での見通しのきく落葉期等を勘案し、毎年10月15日(北海道にあっては、毎年9月15日)から翌年4月15日までとされています。

とあります。

つまり、林業などの山の中の仕事で山に入っている人が少なく、葉っぱも落ちて見やすい時期だから、というような意味に取れます。

ただ実際は、真冬の期間でも林業で山に入っている人はいるし、猟期始めと猟期終わりごろは、地域にもよりますが葉っぱも茂っているので、この期間だから安全?となると疑問は残ります。ただ、本当に真冬にしか猟期がないと諸々問題も起きるでしょう。結果として明言を避けて「ふわっと」おさめているような印象を受けます。


猟師の伝統?

もともと、人間は古くから狩猟を行ってきた民族で、東北地方は「マタギ」などと呼ばれています。現在は専業猟師はほとんどいなくなってしまったそうですが、先祖代々猟師、という方もいらっしゃいます。この方々にお話を聞くと、基本的に葉が落ちる冬であることは同じですが、「当たり前」という感覚が強く、少なくとも「安全」とは違うようでした。また、本州の方は「獲物が見える」からという意見が多いようでした。

現在は猟具に鉄砲を使うため、「人間」を撃たないための安全対策が必要ですが、歴史に火縄銃登場する前は槍や毒矢などが用いられていました。槍や毒矢の場合、有効距離が短いため、狩猟時の「人間の安全」というのは今ほど重要視されてなかったのかもしれません。


夏のジビエはお腹を壊す??

地域によっては、「夏の鹿、イノシシは腹を壊す」からといって食べない、結果獲らないという地域もあるようです。

実際ジビエのというのは、止めさしを行った瞬間から雑菌が繁殖を始め、そのままだとあっという間に「腐敗」します。なぜなら、多くの細菌は20℃〜50℃、その中でも食中毒に関連する雑菌の多くは37℃前後が一番増殖しやすいためです。

つまり、ジビエで食中毒を出さないためには「雑菌の増殖をいかに抑えるか=いかに早く肉の温度を下げるか」が重要なポイントとなります。

これが冬場の場合は、外は一般の冷蔵庫内よりも温度が低くなりますので、鹿やイノシシなどの「体温」を取り除いてしまえば、冷蔵庫のように雑菌の繁殖を抑えることができます。このため、一定時間内に身体中を巡っている血液を「放血」し、体重の約半分を占める「内臓摘出」を行えば、肉は雑菌に侵される前に冷却され、安全性を保つことができます。

ですが夏場の場合は、気温自体が30℃以上になり、雑菌の繁殖しやすい温度帯なため、適切に放血と内臓摘出を行っても、肉が冷えません。すると当然食中毒を起こす雑菌が肉自体でも爆発的に増殖することになります。

結果的に、捕獲してすぐに沢の水に漬けるなど、冷却できるようなものがあるか、生きたまま持ち帰り冷却設備の近くで止めさしを行わない限り、夏のジビエは食中毒菌の増殖がなされてしまう可能性は非常に高くなります。


「冬が良い」のではなく「夏がダメ」この習慣だったのでは?

どちらかというと「冬」でなければならない理由というより、それ以外の夏や暑い日は肉を獲ってもお腹を壊してしまうので獲らなかったのでは無いか、また、本州では秋にならないと本当に獲物が「全く見えない」地域もあり、カモなどの冬にならないとやってこないものもあります。

すると、結果的には狩猟は冬前後で行われることが多くなるため、これらを踏襲して、現代も冬前後で行いましょう、とされているのかもしれません。

今回はここまでしか調査ができませんでしたが、もし、「これが答えだ!」というものをお持ちの方は、ぜひ広報部までご連絡ください。




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