全国のジビエ 数量や品質 実需と共有 システム構築へ 農水省


農水省はジビエ(野生鳥獣の肉)の利用拡大に向け、捕獲者や処理加工施設、飲食業者ら関係者が情報共有できるシステムの構築に乗り出した。インターネットを通じ、全国単位で捕獲・加工側の供給量や品質情報を実需側がリアルタイムで分かるようにして、取引量を増やすのが狙い。2020年度の概算要求に盛り込むことも視野に入れる。

 野生鳥獣の捕獲頭数や食肉への加工量などの情報は、捕獲者や処理加工施設にとどまるケースが多い。猟師や加工施設とのつながりを持っていない限り、飲食店が仕入れの見通しを立てるのは難しいのが実態だ。

近年はジビエの認知度が高まり、17年度の利用量は前年度比27%増の1629トン。一方、捕獲頭数に対する利用率は低い。鹿とイノシシの合計で112万700頭に対し、ジビエへの利用率は8%にとどまる。

  需要拡大につなげるため同省は、飲食店側が利用しやすい環境を整える必要があると判断。課題だった数量、品質などの情報共有で全国単位のシステム構築に着手した。

  新たなシステムでは、飲食店側が食材として使う場合の必要な情報をカバーする予定だ。個体別に捕獲者や場所、方法などを把握。処理加工施設での解体日時、在庫なども分かるようにする。  捕獲者や処理加工施設からの情報を集めるための仕組みづくりが課題。同省は、鳥獣の捕獲情報を市町村から収集している環境省と協議を重ねており、現場の情報をどう吸い上げるか検討する。処理加工業者らへの聞き取りも始めた。

  同省は「ジビエの品質や量が分かるようになれば利用も広がる。全国単位で情報共有できるようにして需要を増やし、鳥獣害対策につなげたい」(鳥獣対策・農村環境課)と展望する。

日本農業新聞 7/28(日) 12:04配信

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