2019年のえとであるイノシシやシカなど野生鳥獣の肉を「ジビエ」として利活用する動きが広がっている。農林水産省の17年度野生鳥獣資源利用実態調査によると、全国の処理施設の販売量は食肉向けが1146トン。ペットフード向けを加えると1519トンで前年度に比べ30%増えた。都道府県別の食肉向けの利用量は北海道が503トンで突出して1位。2位は兵庫県で90トン、3位は鳥取県で61トンだった。
食肉向けはイノシシが生息しない北海道はエゾシカがほとんど、兵庫は過半数がイノシシと地域で違いがある。イノシシやシカはハンターの高齢化などで増えすぎ、農林産品に食害を及ぼす「厄介者」。これを地域資源にしようと、政府もジビエ振興を強化し、19年度に利用量を16年度の1283トンから倍増させる目標を掲げる。
鳥取県の東部では12年から解体業者や飲食店でつくる協議会がシカ肉を中心に活用を進め、メニューを出す地元飲食店が増えてきた。県内で処理量が最も多い「わかさ29工房」(若桜町)では鮮度や品質を保ち、首都圏の有名レストランも食材に使う。県中西部では18年2月にイノシシの活用を促す協議会も発足。大山町に同年11月に処理施設ができた。県も「亥い年(いいとし)」を掲げ、イベントなどで県産ジビエのブランド化を支援する。
ただ、現状では捕獲された鳥獣の多くがそのまま土に埋めて処分されている。環境省などの調査でもシカとイノシシのジビエとしての活用率は全国で約7%にとどまる。
引用 日本産経新聞
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